太極拳とは何か。いきなり聞かれますと、なかなか答えにくいかも知れませんね。武術史の学者さんは多分どこどこの誰々が練習していた拳法は太極拳の始まりだというでしょうね。太極拳の名門から出た人は多分、自分の先生が教えてくれたのは太極拳だよというように回答するんでしょう。しかし、回答を聞く人として、あなたは太極拳の印象を掴めたと言えないでしょう。ネットに数多くの動画は存在します。試合用の太極拳もあれば、伝統実戦派もあります。ゆっくりした太極拳もあれば、速く動く太極拳もあります。穏やかな太極拳もあれば、激しい太極拳もあります。本当に色々で、迷っちゃいますよね。そうです。太極拳と称されるものはいろいろあります。それぞれ、特有な特徴を持ちます。
太極拳は一種の中国古代の民間個人間の素手の技撃術である。太極学説を理論基礎とする。静で動を制す、柔で剛に克つことを技術特点とし、勢いに沿って力を借りて、弱いほうが強いほうに勝つようにする。練習の段階順は、技の熟練から勁の理解へ、段々に神明の境に及ぶ。「双重」しないことを強調する。太極拳はこのような中国伝統武術である。
出典:于志钧、2012。「中国太極拳史」。中国人民大学出版社。pp10-11。
翻訳:SifuMao, 2013年10月
大きく分ければ、太極拳は五つの大きい流派があります。楊式、呉式、武式、孫式、陳式です。楊式と呉式は、形も内面も似ているといわれます。武式は、前の両者と形は違いますが、内面は似ているといわれます。孫式は武式と形意拳と八卦掌との合成だといわれます。陳式だけが格別視されます。陳式の形も内面も前の四者と違うといわれます。前の四者は全部「力を学ぶ」ことを通し、弱い立場から考えて、軽い動きで、強い大きい相手を倒すことを目指していると言われます。陳式は逆に力を身につけて、その大きい力を爆発させて相手を倒すことを目指す傾向があります。(このため、陳式の強い人は体格の大きい方が多いと言われます。)太極拳を始めたい方は、まずはどっちのほうを求めたいかを心の中に決めた方をお薦めします。
太極拳は多様性があるということを認識したうえで、当会の太極拳をご紹介したいと思います。
当会の太極拳は前記の「呉式」に当たります。呉式太極拳は一種のとても健康的な中国武術です。呉式太極拳の姿はとても穏やかでおとなしいです。ゆっくりで、しっかりした足の運びでやります。跳躍等の激しい動きはありません。しかし、護身的意味は十分込められています。すべての動きは陰と陽の原理に基づき、自分がより弱い立場であっても、強い大きい相手を制せるように設計されています。太極拳は技の型を繋げて套路になります。套路の練習を通して、太極拳的姿を習います。套路の使用法(すなわち、なぜ各技はあのようになっているのか)を覚えることで、太極拳の護身方法を理解します。套路の使用法を練習することで、理解を深めます。推手を練習することで太極拳の聴けいという重要な基本能力を身につけます。太極拳の練習を通して、できるだけ楽に相手を制す能力を習得します。以下は当会の太極拳套路です。
呉式太極拳長拳89式演武
呉式の古い套路では、速い、練習しづらいものもあります。当会では、古い套路を練習せずとも、太極拳の実用性を十分獲得していると考えます。太極拳の実用性は、健康と護身両面があります。太極拳の健康面が広く周知されています。転倒予防やストレス軽減や体内循環改善などなどです。太極拳の各動きの各臓器に対する健康機能を紹介する本も出版されています。以下で、太極拳の護身的機能に重点を置いて紹介してみます。
呉式太極拳はそのゆっくりした穏やかな姿で、護身できないと誤解されやすいかもしれません。しかし、太極拳の面白い所は、ゆっくりした穏やかな練習で、護身力はちゃんと身につけます。決して瞬発力や耐久力が上がって何とか遣り切るんではありません。太極拳の練習を通して、相手の力を巧みに流し、相手の力を巧みに利用し、相手に負けてもらいます。ですから、自分より体格の大きい相手にも立ち向かえます。この力に関する学習は、特に推手という練習の中に鍛えられます。推手の基本姿は二人が面と向かって押し合いで勝負するように見えますが、決して力で押し切るような勝負ではありません。相手の力を感じて、如何に軽く流し、如何に軽く相手を移動させられるかを試します。勝負という形が発生するたびに、学習のチャンスが生まれます。もっと軽く、うまくできないでしょうか。自分に問いなおします。
http://www.youtube.com/watch?v=uNdsRfFZwjw
強力じゃなくては護身できないという既成観念が強く働きますが、当会の太極拳必ず反例をお見せします。言葉としての説明でこれ以上の印象を伝えるのは難しいですが、当会のアルバムをご覧ください。太極拳を実際に体験してみたい方はぜひお越しいただき、無料体験をご利用ください。